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【遠藤イヅルの名車カタログ】第2回 ホンダ・ストリーム(1981)

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  • 2016.04.25

イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。 第2回目となる名車に選ばれたのは、当時は未来感のあるスクーターで発売となった「ホンダ・ストリーム」のご紹介です。

ホンダ・ストリーム(1981年) 空冷2サイクル単気筒(49cc)

最高出力:3.8PS/6,500rpm 最大トルク:0.46kgm/5,500rpm

HONDA PRESS INFORMATION 1981年


ホンダのオートバイには

驚くほど自由な発想で作られたものがあり、

とくに50cc以下のバイクではそれが多く見受けられる。


1981年に登場したストリームは

スクーターながらも後輪は2つで、

別体化された駆動部内にビルトイン。


駆動部はボディと切り離され、

コーナリング時は

ボディのみがロールするという設計だった。

つまりスリーホイーラーである。


現在でも製造販売が続くスリーホイーラー、

ジャイロは1982年に登場(ジャイロX)しているので、

ホンダのスリーホイーラーの原点が

このストリームなのである。


ホンダのスリーホイーラーは駆動軸に

デファレンシャルギアを内蔵、

ボディと駆動部の接続には適度な復元力を持つ

「ナイトハルト機構」が備わり

軽快なコーナリングを実現しつつ、

後輪2軸による安定性や

悪天候時の走破性などにも秀でているのが特徴だ。


クルマのパーキングブレーキのような

パーキングロックまで備わるが、

これらの設計は現在のジャイロまで引き継がれている。

1980年代的な四角い未来感溢れるスタイルも特徴だった。


フェンダーと一体化したボディ前部は

開閉式のトランクになっており、

かなりの積載量があっただけでなく、

ハンドル下にもグローブボックスが用意され

収納力は抜群だった。


シートについた小さな背もたれは

3段階にリクライニングが可能で、

スクーター特有の

足をゆったり投げ出せる姿勢とともに

当時のホンダは

ストリームの快適性をアピールしていた。


ただし販売価格19万8千円は高価で、

ストリームの売り上げは伸び悩んだ。


その後ホンダは前述のジャイロの他廉価版である

「ジョイ(1983年)」、「ジャスト(1983年)」、

「ロードフォックス(1984年)」など、

スリーホイーラーを立て続けに販売するも

いずれもヒット作とはならなかった。


だが、その技術は決して無駄にならなかった。

ホンダのスリーホイーラーのアイデアが優れていたことは、

現在もなお、寿司やピザの宅配で

ジャイロが大活躍していることがその証明となるであろう。

制作・協力

(イラスト・文)遠藤イヅル

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