他カテゴリ記事を絞り込んで探す
【遠藤イヅルの名車カタログ】第10回 スズキGSX400E(1980)
- おすすめコラム
- 2016.08.26
イラストレーター遠藤イヅル氏による名車・珍車を紹介するコーナーです。 今週の名車は”ザリ”のあだ名で人気の「スズキ・GSX400E」のご紹介です。
■スズキ GSX400E(1980)■空冷4ストDOHC4バルブ並列2気筒
■最高出力:44ps(32kw)/9500rpm ■最大トルク:3.7kg・m(36.3N・m)/8000rpm
ホンダは1972年のドリームCB350Four、さらに1974年にはドリームCB400Fourで
400cc4サイクルクラスへの直4搭載モデルを発売していたが、
高コストのため後継モデルのCB400T HAWK-IIは2気筒に落ち着いていた。
ライバルにスズキ・GS400、ヤマハ・GX400、カワサキZ400も2気筒のままだったが、
GS400はヘッドを2バルブDOHCとしたことで注目された。
そして1980年、GS400Eは2気筒エンジンのままフルモデルチェンジを行い、GSX400Eとなった。
スズキの車名命名規定では、「X」は4バルブを表していた。
そう、GSX400Eは、400ccクラスで唯一の4バルブDOHCエンジン搭載車だったのだ。
だが、時既に400ccクラスにはカワサキがZ400FXという
4気筒2バルブDOHCエンジンを搭載したモデルを1979年に登場させていた。
でも、GSX400EのスペックはZ400FXにひけを取らなかった。
スズキはGSX400EにTSCC(2渦流燃焼室)という新技術を投入し、
額面でもZ400FXよりも1ps多い44psを達成していたのだ。
Z400FXに対する、スズキの意地の表れでもあったのだろう。
実際に乗ってみても、GSX400Eの低速からのパンチは
4気筒エンジンに対して大きなアドバンテージだったように思う。
GSX400Eは、「ザリガニ」と称されて親しまれた。
シート前端のギザギザがそう思わせたのか、サイドカバーの横縞がそう感じさせたのか、
何にせよ命名した人のセンスの良さに圧倒される。
言われてみれば、ザリガニにしか見えないのだ。
バイクの愛称は興味深いものが多く、Z400FXも「フェッチ」と呼ばれていたし、
1986年のGSX400Xインパルスは「東京タワー」と言われていたのを思い出す。